皮膚の色が変わったのはなぜ?病気が隠れていることも!?


皆さんは、愛犬の皮膚の色に異変を感じたことはありませんか?
「最近、うちの子の皮膚の色が変わってきたみたい…」「いつもと違う色の斑点ができたけど、大丈夫かな?」など、愛犬の皮膚の変化に気づいて心配になったことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

実は、犬の皮膚の色の変化は、加齢によるものから皮膚疾患まで、様々な原因が考えられます。
中には深刻なものもあるため、愛犬の健康を守るためには、これらの変化を見逃さず、適切に対処することが大切です。

このブログでは、犬の皮膚の色が変化する主な原因と、それに関連する皮膚トラブルや獣医師の診察が必要なケース、そして日常的な皮膚ケアについて解説いたします。



犬の皮膚の色が変化する原因は多岐にわたります。
主な原因としては下記が挙げられます。

  • ・皮膚炎

皮膚の色が赤くなる場合、炎症が起きていることが考えられます。
これはアレルギー反応や感染症の初期症状として見られ、放置すると痒みや痛みが生じることがあります。
また、わんちゃんがかきむしってしまうことで皮膚が傷つき、二次感染が起きるリスクも高まります。

  • ・加齢による変化

わんちゃんは年齢を重ねると、毛や皮膚の色が変わることがあります。
皮膚の色が暗くなることが多く、特に毛の薄い部分で目立つことがあります。
また、色素沈着やイボが増えることがあります。
これは自然な現象であり、多くの場合、健康上の問題はありません。

  • ・日光による色素沈着

日差しの強い季節には、犬の皮膚も紫外線の影響を受けやすく、皮膚の色が濃くなることがあります。
特に短毛種や毛の薄い部位は紫外線の影響を強く受けるため、色素沈着が起こりやすいです。

  • ・ホルモン異常

ホルモンバランスの乱れは、皮膚の色に影響を与えることがあります。
特に甲状腺機能低下症やクッシング症候群のような内分泌系の病気では、皮膚が黒ずんだり、色素沈着が見られることがあります。

これらの原因により、犬の皮膚の色が変化する可能性があります。
しかし、色の変化だけでなく、他の症状も併せて観察することが大切です。
次は、皮膚の色が変化した際に考えられる皮膚疾患についてご説明します。


前述のとおり、皮膚の色が変わる理由としては皮膚炎やホルモン異常などのトラブルも挙げられます。
原因として考えられる皮膚疾患の例としては下記があります。

  • ・マラセチア性皮膚炎

皮膚がべたつき、臭いを伴いながら赤みや黒ずみが見られる場合、マラセチアという真菌が原因となっていることがあります。
この菌は犬の皮膚に常在していますが、皮脂が増加したり皮膚のバリア機能が損なわれた際に過剰に増殖して炎症を引き起こすことがあります。

  • ・アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はアレルギー体質の犬に多く見られます。
皮膚が赤くなったり、湿疹やかさぶたができることもあります。

  • ・膿皮症

膿皮症は細菌感染による皮膚炎で、赤い発疹や膿疱が現れます。
重症化すると皮膚が黒ずんだり、毛が抜けたりしてしまうことがあります。

  • ・皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症はカビの一種である皮膚糸状菌による感染症です。
円形の脱毛や皮膚の赤み、かさぶたなどが特徴で、皮膚の色が変化することもあります。

  • ・アレルギー性皮膚炎

アレルゲンに免疫が過剰反応することで起きる皮膚炎です。
特定の食事や物質との接触などによって引き起こされ、皮膚が赤くなったり、かゆみを伴ったりします。

  • ・甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって代謝が低下し、さまざまな皮膚トラブルを引き起こします。
慢性化すると、左右対称に皮膚が黒ずんでしまうことがあります。

  • ・クッシング症候群

クッシング症候群は、代謝や免疫を調整する働きがあるコルチゾールが過剰に分泌されることによって犬の皮膚にさまざまな変化を引き起こす病気です。
皮膚が薄くなり、色素沈着が起きやすくなったりすることで皮膚の色が薄くなったり、黒ずんだりすることがあります。

これらの皮膚疾患は、それぞれ症状や原因が異なるため、適切な診断と治療が必要です。
症状の緩和や改善のためにも、早期発見がカギとなります。
皮膚の色の変化は必ずしも病気を意味するものではありませんが、なるべく獣医師に相談することが推奨されます。



わんちゃんの皮膚の色に変化がみられる中で、特に診察を受けたほうがいいケースがあります。
以下のようなケースでは、獣医師の診察がより重要です。

  • ・急な変化

数日から1週間程度の短期間で、皮膚の色が急激に変化した場合は要注意です。
特に、広範囲にわたる変化や、今までに見たことがないような変化は、早めに獣医師に相談しましょう。

  • ・かゆみを伴う

皮膚の色の変化に加えて、強いかゆみが見られる場合は獣医師の診察が必要です。
かゆみのために愛犬が落ち着かない様子や、皮膚を傷つけてしまうほど激しくかく様子が見られたら、すぐに診察を受けましょう。

  • ・皮膚から異常な分泌物や出血がある

皮膚の色が変化した部位から、膿や血液、異常な分泌物が出ている場合は、感染症や重度の炎症が疑われます。
このような症状は放置せず、すぐに獣医師に診てもらいましょう。

  • ・全身の状態に変化がある

皮膚の変化に加えて、食欲不振、元気がない、発熱などの全身症状が見られる場合は、早急に獣医師の診察を受けることが大切です。
皮膚の問題が全身に影響を及ぼしている可能性があります。

  • ・持病がある

甲状腺疾患や糖尿病、クッシング症候群などの持病がある場合、皮膚の色の変化が病気の悪化を示している可能性があるため、早急に獣医師に相談しましょう。上記に当てはまる場合、早めに獣医師に相談し、健康状態をチェックしてもらいましょう。
早期の発見と治療が、おうちのわんちゃんの健康を守るカギとなります。



わんちゃんの皮膚の色に変化が見られた場合、下記の対処が考えられます。

前述のとおり、なるべく獣医師にチェックしてもらうことが理想的ですが、診察までの時間で愛犬の状態を把握することも重要です。
まず、色が変化した部位を観察し、脱毛や腫れなどの皮膚トラブルがないかを確認します。
この時、かゆみや痛みの有無や変化の速さなどもチェックするとより診察が行いやすくなります。

獣医師の診察では、問診や健康チェックを行います。
特に健康上のトラブルがなければ良いですが、皮膚疾患が考えられる場合は検査をすることがあります。
皮膚の状態によっては血液検査などが行われ、アレルギーや感染症の有無を確認します。

この検査結果に基づいて、適切な治療法が提案されます。
内服薬などを服用する薬物療法や、一時的に食事を変える食事療法などを組み合わせることで症状の改善が期待できます。

しかし、一度治療して症状が改善しても、再発してしまう可能性もあります。
そのため、継続的な観察と皮膚ケアが重要です。
皮膚の色の変化に限らず、愛犬の体全体の健康状態を定期的に確認することで、早期に問題を発見し、適切な対処をすることができます。



皮膚の色の変化の要因の一つである皮膚疾患を予防・緩和するには、日常のシャンプーケアも重要です。
主に下記を意識してシャンプーをすることが推奨されます。

  • ・低刺激のシャンプーを選ぶ

皮膚に負担をかけない低刺激のシャンプーを選ぶことが大切です。
特にアレルギーや皮膚疾患がある場合、獣医師に相談して、わんちゃんの皮膚に合った製品を選びましょう。

  • ・保湿をしっかり行う

乾燥は皮膚のトラブルを悪化させる要因の一つです。
シャンプー後の乾燥を防ぐために、保湿成分が含まれたシャンプーを使ったり、保湿剤を別途使用することが推奨されます。
保湿することで皮膚のバリア機能が働きやすくなり、皮膚疾患のリスクも緩和することができます。

  • ・適切な頻度でのシャンプー

皮膚の色の変化が気になる場合でも、頻繁なシャンプーは逆効果になりやすいです。
必要な皮脂まで落としてしまうと、乾燥や炎症の原因になるため、獣医師の指導のもと、適切な頻度でのシャンプーを心掛けましょう。

以上の点を踏まえてシャンプーケアを行うことで、皮膚疾患を予防したり、治療したりすることが可能となります。
獣医師の診察と併せて、おうちでも皮膚ケアを行うことで愛犬をキレイにしやすくなるでしょう。



愛犬の皮膚の色の変化は、様々な原因で起こり得ます。
加齢や日光による自然な変化もあれば、アレルギーや感染症、ホルモンバランスの乱れなど、健康上のトラブルである場合もあります。
皮膚トラブルによって色が変わっている場合、症状の進行を防ぐためにも迅速な対処が必要となります。
おうちのわんちゃんに皮膚の色の変化が見られた場合は、速やかに獣医師にご相談ください。
専門家のアドバイスを受けることで、より適切なケアが可能になります。

この記事の監修者

どうぶつ病院京都グループ 獣医師

山口大学農学部獣医学科を卒業後、10年以上にわたり動物病院で臨床経験を積んだ獣医師。超音波検査や循環器診療の専門研修を修了し、日本獣医循環器病学会員としても活動。これまで一頭一頭の健康と快適な生活を考えた診療を心がけ、現在はブログ執筆や監修を通して飼い主様への良質な知識のご提供にも取り組んでいます。

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