朝は何ともなかったのに、昼には患部が赤く腫れ上がり、脱毛まで起きている—。
これが「ホットスポット」と呼ばれる犬の皮膚トラブルです。
正式には「急性湿性皮膚炎(きゅうせいしっせいひふえん)」とも呼ばれ、文字通り急激に症状が進行する特徴を持ちます。
特に梅雨から夏にかけての高温多湿の季節に多発するこの皮膚トラブルは、放置すると愛犬に強い痛みとかゆみをもたらすこともあるため、早期発見・早期治療が肝心です。
今回は、ホットスポットができる原因から予防法まで詳しくご説明します。
目次
ホットスポットとは?急に悪化する皮膚炎の主な症状

ホットスポットは、「急性湿性皮膚炎」または「化膿性外傷性皮膚炎(かのうせいがいしょうせいひふえん)」とも呼ばれている皮膚病です。
主に高温多湿の環境下で皮膚が蒸れた時に細菌が繁殖することで発症します。
特に梅雨や夏の時期に多く見られ、被毛が密集している犬種に発症しやすい傾向があります。
ホットスポットの最大の特徴は、症状が進行する速さです。
数時間から1日程度で急激に悪化することが多く、放置すると広範囲に広がってしまうこともあります。
症状に気づいた時には、すでにかなり悪化していることも珍しくありません。
主な症状には以下のようなものがあります。
- ・皮膚の一部が赤い
- ・皮膚がただれている
- ・強いかゆみや痛み
- ・脱毛やかさぶた
- ・膿が出ている
通常は1~2週間、軽度なら数日で治ることも多いですが、重症化してしまうと治るまで数週間かかることもあります。
かゆみや痛みによって愛犬が患部を舐めたりひっかいたりしてしまうと症状が悪化しやすくなるため、注意が必要です。
ホットスポットの原因は?高温多湿・アレルギー・舐め癖など

高温多湿によって皮膚が蒸れることや、アレルギーによる皮膚の刺激など、ホットスポットには様々な原因があります。
主な原因を見ていきましょう。
環境要因
ホットスポットの発生には、環境条件が大きく影響します。
梅雨や夏季の高温多湿の時期は、皮膚が蒸れやすくなるため、要注意です。
皮膚が蒸れるとブドウ球菌などの細菌が繁殖しやすくなり、炎症が起きることがあります。
特に、この季節にシャンプーや水遊びをした後にしっかり乾かしきれていないときはホットスポットが発生しやすくなります。
皮膚を舐める・噛む
アレルギー性皮膚炎や膿皮症など、別の皮膚トラブルによってかゆみが引き起こされ、愛犬が皮膚を舐めたり噛んだりすることでホットスポットが引き起こされることもあります。
皮膚を舐め続けることで蒸れやすくなることに加え、傷に細菌が侵入することで細菌感染の状態になることも考えられます。
また、ホットスポットによるかゆみや不快感によってさらに舐めることや噛むことが増えると症状が悪化しやすくなります。
【要注意な犬種・体質】ホットスポットになりやすいわんちゃんの特徴は?

どのようなわんちゃんでもホットスポットになる可能性はありますが、特に注意が必要な特徴を見ていきましょう。
ダブルコートの犬種
ゴールデンレトリバーや柴犬など、被毛が二層構造になっているダブルコートの犬種は、皮膚が蒸れやすく、湿度がこもりやすいためホットスポットが発生しやすくなります。
アンダーコートが密になっている犬種は、換毛期に毛が体に残らないようにブラッシングすることが肝心です。
アレルギー体質のわんちゃん
愛犬が元々アレルギー体質である場合は、皮膚炎発症のリスクが高いといえます。
アレルギー反応が皮膚に現れると、かゆみが発生し、犬が掻いたり舐めたりすることで皮膚が傷つき、そこから細菌感染を起こしてホットスポットに発展する可能性があります。
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを持つわんちゃんは、日頃から皮膚の状態をより注意深く観察したり、定期的に獣医師検診を受けることが大切です。
皮膚の弱いわんちゃん
生まれつき皮膚が弱かったり、以前に皮膚トラブルを経験したわんちゃんは、ホットスポットになりやすい傾向があります。
皮膚のバリア機能が低下していると、外部からの刺激に対して過敏に反応しやすくなるため、適切なシャンプーをしたり、保湿ケアを徹底することが推奨です。
【早期対応で悪化を防ぐ】犬のホットスポットを見つけたときの対処法

放置すると悪化してしまう恐れがあるため、愛犬にホットスポットが見られた場合は獣医師に相談してから治療を始めましょう。
症状が軽度の場合
ホットスポットの治療は症状の重さによって変わってきます。
症状が軽度であれば、主に局所的に治療が進められます。
まず、患部の周りの毛を刈ることで通気性を改善したり、薬を浸透しやすくさせます。
その後、患部を洗浄したり、外用薬を使用することなどで症状が改善することがあります。
前述のとおり、この時に患部を舐めたり噛んだりすると症状が悪化してしまうため、エリザベスカラーを付けることで保護することもあります。
症状が重度の場合
症状が重度の場合も、前述と同様にまず患部の毛を刈ります。
外用薬に加え、炎症が強い場合は薬用シャンプーやステロイド剤を使用し、症状を緩和させることもあります。
細菌感染があると疑われる場合は抗生物質が投与されたり、アレルギーの場合は抗炎症薬や抗ヒスタミン剤の投薬を行います。
また、食物アレルギーや環境アレルギーがある場合は普段の食事や生活環境を見直すことも大切です。
いずれにしても、早期に治療を始めることで症状の重症化や再発の予防に繋がります。
【再発防止】犬のホットスポットを予防する習慣

愛犬をホットスポットから守るための予防法をご紹介します。
特に梅雨から夏にかけての時期は、以下のケアを心がけましょう。
被毛と皮膚のケア
- ・定期的なブラッシング
特にダブルコートの犬種は、アンダーコートが絡まると空気の循環が悪くなり、皮膚が蒸れる原因になります。
定期的なブラッシングで抜け毛を取り除き、空気の通りを良くしましょう。
- ・定期的なシャンプー
細菌感染を防ぐためにも、定期的なシャンプーで汚れや皮脂を落とすことが重要です。
頻度を増やす必要はありませんが、梅雨や夏の季節はしっかり月に一回程度でシャンプーを行いましょう。
- ・シャンプー後の乾燥
シャンプーをした後は、タオルでよく水分を拭き取り、ドライヤーでしっかり乾かしましょう。
特に内股や首回り、耳の後ろなど湿気がこもりやすい部分は入念に乾燥させることが大切です。
- ・濡れた後のケア
雨の日の散歩や水遊びの後も、被毛をよく乾かすことが重要です。湿った状態を長時間放置すると、ホットスポットの原因になります。
環境管理
- ・湿度の調整
特に蒸し暑い時期は、除湿器やエアコンで室内の湿度を適切に保つようにしましょう。
湿度を約40-60%を保つことで、ホットスポットだけでなく乾燥肌やその他の皮膚トラブルも防ぎやすくなります。
- ・清潔な環境の維持
寝床やよく過ごす場所は細菌やカビの温床となりやすいです。定期的に掃除し、清潔に保ちましょう。
予防薬の使用
- ・ノミダニ予防
ノミはおうちの中にいることもあるため、室内で飼っているわんちゃんも要注意です。
また、散歩や病院・犬がたくさん集まる場所でもノミやダニに接触する可能性があります。
獣医師に相談の上、定期的にノミ・ダニの予防薬を使用することを推奨します。
まとめ|ホットスポットを早期発見・予防して愛犬を健康に
愛犬の健康を守るために知っておきたい「ホットスポット」について、その特徴と対策をご紹介しました。
以下に重要なポイントをまとめます。
- ・ホットスポットは特に梅雨から夏にかけての時期に発症しやすい
- ・ダブルコートの犬種やアレルギー体質のわんちゃんは特に注意が必要
- ・症状の重さに合わせて治療をする
- ・定期的なケアや環境の管理などで予防
- ・異変を感じたらすぐに獣医師へ相談することが大切
日頃から愛犬の皮膚の状態に気を配り、異常を感じたら獣医師に相談することで、ホットスポットの重症化を防ぐことができます。
愛犬が快適に過ごせるよう、適切なケアを心がけましょう。

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