目次
膿皮症(のうひしょう)とは
犬の膿皮症は、皮膚が過剰に繁殖した細菌に感染することで炎症引き起こす病気です。これにより、かゆみやふけなどの皮膚トラブルが現れます。
(膿皮症の症例写真)
なかでも、炎症が発生している箇所により、膿皮症の状態は主に表在性と深在性の二つに大別されます。
表在性の膿皮症は、主に皮膚の表面で炎症が生じています。
皮膚の組織は表皮、真皮、皮下組織という階層構造を持っており、表在性膿皮症はその中でも表皮で細菌が炎症を起こしていることが主な特徴です。
一方で、深在性の膿皮症は炎症が皮膚の深層に広がり、真皮や皮下組織にも影響を与えています。
表在性膿皮症が進行すると深在性膿皮症となり、炎症がより慢性的なものとなります。
炎症が起きている場所に差異があるため、表在性膿皮症と深在性膿皮症では症状が異なります。
表在性膿皮症
・皮膚が赤くなり、犬がかゆがることがあります。
・皮膚に膿が溜まる「膿疱」やぶつぶつのような「丘疹」が見られます。進行すると色素沈着が起こり、皮膚が黒ずんでしまう場合があります。
・炎症が起きた結果、ふけが発生します。これによってさらにかゆみを誘発してしまいます。
・円形の脱毛が見られる場合もあります。
深在性膿皮症
・赤みやかゆみだけでなく、痛みを伴うことがあります。
・皮膚が赤くなり、ただれた状態である「潰瘍」が見られます。
・皮膚が隆起し、おできのように腫れることがあります。
・皮膚の深い位置で炎症が起きているため、発熱や全身の不調がみられることがあります
膿皮症の原因
膿皮症になる主な原因としてはブドウ球菌の過剰な繁殖が挙げられます。
ブドウ球菌は本来、犬の皮膚表面に存在している皮膚常在菌ですが、過剰に増殖してしまう場合があります。
この過剰に増えた菌が皮膚に侵入することにより、膿皮症が引き起こされます。
通常、犬の皮膚は外部の病原体や細菌から身を守るためのバリア機能を持っていますが、皮膚の損傷やアレルギー反応によってこのバリア機能が低下することがあります。
これにより、ブドウ球菌が表皮や毛包に侵入しやすくなり、表在性膿皮症を発症することがあります。
そのため、膿皮症の予防・治療には皮膚環境を整えることでブドウ球菌の数を適正化することと丈夫な皮膚バリア形成をすることが必要だと考えられます。
犬によって表在性膿皮症のなりやすさには違いがあります。以下は、表在性膿皮症になりやすい犬の特徴とその傾向についてのまとめです。ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、個々の犬には例外があります。
膿皮症を発症しやすい犬
アトピー性皮膚炎を患っている:
アトピー性皮膚炎を患っている場合、特定のアレルゲンに対して過敏な反応を示すことがあります。
これにより、皮膚のバリア機能が低下してしまい、膿皮症のリスクが高まります。
ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバーなどが特にアトピー性皮膚炎になりやすいとされています。
しわが多い・被毛が長い犬種:
しわが多い・被毛が長い犬種は、身体に湿気や細菌がたまりやすく、ブドウ菌を増殖させてしまいます。
パグやブルドッグなどのしわが多い犬種は、しわの中の保湿や清潔な維持が重要です。
また、シーズー、マルチーズ、プードルなどが被毛が長いため、定期的なトリミングやブラッシングが必要です。
アレルギーのある犬:
アトピー性皮膚炎以外にも、特定の食物や環境アレルゲンにアレルギーを持つ犬は、かゆみや皮膚の炎症が発生しやすくなります。
このかゆみが引き金となり、かいたり舐めたりすることで皮膚バリアが弱ってしまい、表在性膿皮症を発症することがあります。
体質的な要因:
個体差や体質的な要因も影響を与える可能性があります。
過度に油分が分泌される場合は、ブドウ菌が繁殖しやすくなるため、膿皮症のリスクが高まります。
また、表在性膿皮症による炎症が真皮や皮下組織にまで及んでしまうと、より症状が重い深在性膿皮症となります。膿皮症の重症化が進んでしまう理由には以下のようなものがあります。
深在性膿皮症に進展する要因
膿皮症の未治療:
膿皮症が適切に治療されないまま放置されると、感染が深い組織に進行する可能性があります。
適切な治療が行われないと、感染症が進行し、深い皮膚組織や下層の組織にまで広がることがあります。
免疫不全や基礎疾患:
犬が免疫不全の状態にある場合や基礎的な疾患を抱えている場合、感染が進行しやすくなります。
例えば、免疫不全状態の犬は一般的な細菌感染に対しても抵抗力が低下しており、膿皮症が深刻なものに進行しやすいです。
寄生虫感染:
寄生虫による感染も深在性の膿皮症の原因となります。
例えば、ダニやノミによる皮膚のダメージが感染を引き起こし、深い組織へと進行することがあります。
治療について
動物病院による膿皮症の治療はシャンプー、外用薬、内服薬によって行われます。
症状が軽度の場合はシャンプーと外用薬を使い、より重度の場合は内服薬を使用することがあります。
これらはブドウ菌の過剰繁殖に対処することに加え、基礎疾患を治療することで皮膚のバリア機能を高める作用があります。
シャンプーは主に皮膚の表面にある炎症を緩和したり、ブドウ菌を適正化するために使用します。
獣医師指定の頻度で使用することで、皮膚を清潔にし、炎症を和らげます。
シャンプーの際は、十分な泡立ちとすすぎを確保し、特に感染が疑われる部位を重点的に洗浄します。
このとき、洗い流すときの熱いお湯や乾かすときのドライヤーの温風で皮膚を傷つけないこと、洗い終わりは保湿を行うことなどの配慮が必要となります。
また、症状が改善した場合は洗う頻度を落とします。
外用薬は、皮膚に直接塗布する軟膏やスプレーが処方されることがあります。
これにより感染を局所的に治療し、皮膚を健康な状態に戻します。
外用薬を使用する際は、 獣医師の指示に従い、塗布頻度や方法を守ることが推奨されます。
深在性膿皮症や全身に炎症が見られる場合は内服薬を使用することがあります。
抗菌薬はであり全身に投与が可能なため、一定期間使用を続けることで症状の改善が期待されます。
また、改善が見られない場合は病院の検査によって適切な内服薬が再処方されます。
内服薬の投与は副作用がみられる場合もあるため、獣医師監修のもとに治療が進められていきます。
シャンプーの選び方
ご自宅等でシャンプーを使用して膿皮症を改善する場合は、殺菌作用のあるものを使用することが重要です。
抗菌や抗炎症成分を含むシャンプーが、細菌の繁殖を抑制し、かゆみや炎症を軽減します。
しかし、殺菌作用のある薬用シャンプーでも、体質や症状に合っていない場合は膿皮症の改善は難しくなります。
そのため、以下の観点から獣医師が処方したシャンプーを使用することを推奨します。
抗菌成分の確認
シャンプーに抗菌成分が含まれているか確認します。
一般的な成分としてクロルヘキシジンなどが挙げられます。これらの成分は細菌の成長を抑制し、皮膚の炎症を軽減します。
刺激性の確認
シャンプーには高刺激性の成分が含まれていないか確認し、敏感な犬の肌にも優しいものを選びます。
膿皮症では皮膚が炎症を起こしているため、シャンプーによる刺激がかえって症状を悪化させることがあります。
有効成分の濃度
シャンプーのラベルで有効成分の濃度を確認します。
殺菌作用のある成分でも、適切な濃度で配合されてない場合は効果が期待できません。
有効成分によって適切な配合濃度は異なるため、獣医師による確認が大切です。
以上の点から処方された薬用シャンプーを使用することで、ペットの膿皮症の症状を効果的に管理し、犬の健康を守ることができます。
まとめ
犬の膿皮症は誤った対処法をすると表在性のものが深在性に進展するなど、症状が悪化してしまうことがあります。
そのため、膿皮症の症状が見られたら、速やかに動物病院で診断を受けることが推奨されます。
また、個々の犬に合った治療を行うため、治療方針やご自宅でのシャンプーについては獣医師と相談することが大切です。
CUaREシャンプーは、皮膚トラブルの根本解決に向けたどうぶつ想いの低刺激シャンプーです。
実際に日々動物病院で働き、数万頭以上の動物を診察してきたからこそ開発できたシャンプーをぜひお試しください。
商品ラインナップはこちら