
空気が乾燥する季節になると、わんちゃんを撫でた時にビリっと感じる静電気。
皆さんも経験されたことがあるのではないでしょうか?
実は、この静電気は不快感があるだけでなく、わんちゃん自身にとっても様々なトラブルを起こし得るものです。
特に冬場は乾燥のため静電気が発生しやすく、わんちゃんがストレスを感じたり、被毛や皮膚に悪影響を及ぼすことも。
今回は、犬の静電気の原因から対策方法まで、愛犬を静電気から守るための情報をご紹介します。
目次
静電気ってどう起こる?
静電気は、私たち人間だけでなく、わんちゃんにも発生します。
では、どのような仕組みで静電気が起こるのでしょうか?
静電気が起きる仕組み
物は通常、電気を帯びています。
この電気にはプラスの性質とマイナスの性質があり、プラスとマイナスがちょうど同じ量だけあるときはバランスが取れている状態です。
このバランスが取れていると、静電気は発生しません。
しかし、異なる物同士が触れたり、こすれたり(摩擦)すると、このプラスとマイナスのバランスが崩れることがあります。片方の物からもう片方へと「電気の素」が移動することで、一方はプラス気味に、もう一方はマイナス気味になります。
このアンバランスな状態こそが静電気の正体なのです。
わんちゃんの場合、以下のような状況で摩擦が起き、静電気が発生しやすいです。
- ・カーペットやソファに体をこすりつける
- ・毛布やベッドで寝る
- ・飼い主さんにブラッシングしてもらう
- ・服を着る、脱ぐ
これらの摩擦によってわんちゃんの体が帯電し、触れた時にパチッと放電するのです。
季節や環境による影響
静電気が特に発生しやすいのは、冬場などの「空気が乾燥している時期」です。
湿度が低いと、電気が逃げにくくなるため、体に蓄積されやすくなります。
また、暖房を使用する室内は特に乾燥しやすく、静電気トラブルが増える傾向にあります。
一般的に湿度が40%を下回ると静電気が発生しやすくなると言われていますが、冬場の室内は20%以下になることも珍しくないため、注意が必要です。
静電気が起きやすいわんちゃん
全てのわんちゃんに静電気は発生しますが、犬種によって発生のしやすさが異なります。
長毛だったり、ダブルコートのわんちゃんは静電気が起きやすいといえます。
長毛種
以下のような長毛種は、被毛が多く摩擦が起きやすいため、静電気がたまりやすい傾向にあります。
- ・マルチーズ
- ・シーズー
- ・ポメラニアン
- ・シェットランド・シープドッグ
- ・ヨークシャーテリア
ダブルコートの犬種
下記などのダブルコート(二重被毛)の犬種も、被毛の層が摩擦を起こしやすく、静電気が発生しやすいです。
- ・ゴールデンレトリバー
- ・シェパード
- ・ミニチュアシュナウザー
- ・ビションフリーゼ
静電気がわんちゃんに与える影響

静電気は、わんちゃんの見た目や健康、行動面において様々な影響を持ちます。
被毛への影響
- ・毛がまとまりにくくなる
静電気によって被毛が反発し合い、フワフワと広がってしまいます。
特に長毛種の場合は顕著で、ブラッシングが難しくなることも。
- ・ホコリの付着
静電気を帯びた被毛は、ホコリや花粉などの細かい粒子を引き寄せやすくなります。
このため、アレルギーを持つわんちゃんは症状が悪化する可能性もあります。
皮膚への影響
- ・乾燥と痒み
静電気によって皮膚が刺激され、乾燥や痒みを引き起こすことがあります。
特に敏感肌のわんちゃんは注意が必要です。
また、乾燥肌になるとわんちゃんの皮膚のバリア機能が低下し、より静電気の刺激を受けやすくなってしまいます。
- ・皮膚トラブルの悪化
膿皮症や脂漏症などの皮膚トラブルを抱えているわんちゃんの場合、静電気による刺激で炎症が悪化することがあります。
また、アレルギーがある場合は静電気により被毛に汚れやホコリが付着しやすくなることで、さらなるアレルギー反応を誘発してしまうことも珍しくありません。
行動への影響
静電気によって、わんちゃんに以下のような行動変化が見られることがあります。
- ・触られることを嫌がる
触れられたときに静電気が発生した経験から、撫でられることを嫌がるわんちゃんもいます。
これによって普段のスキンシップやシャンプーがしにくくなってしまうことがあります。
- ・過剰なグルーミング
静電気によって皮膚に残った不快感から、自分の体を舐めたり噛んだりする行為が増えることがあります。
その結果、炎症や脱毛などの皮膚トラブルが起きやすくなってしまいます。
環境管理

わんちゃんの静電気対策には、環境の管理が重要です。
まずは基本的な対策から見ていきましょう。
部屋の湿度
前述のとおり、乾燥していると静電気が発生しやすくなります。
室内の湿度を40〜60%程度に保つことで、静電気の発生を抑えることができます。
下記の方法などによって湿度を調整しましょう。
- ・加湿器
乾燥しやすい季節は加湿器を使って湿度を保ちましょう。
リビングなど、普段わんちゃんが生活しているところの近くに設置するとより効果的です。
- ・濡れタオルや室内干し
加湿器がない場合、代わりに濡れたタオルを部屋に干しておくだけでも湿度が上がります。
また、洗濯物を室内干しにすることも効果的な湿度調節法です。
- ・観葉植物
観葉植物は、水分を吸収して葉から蒸発させることで、自然に湿度を調節します。
ただし、わんちゃんが誤って食べてしまわないように注意が必要です。
使うものの素材
湿度を調整することに加え、わんちゃんが普段の生活で触れる素材を見直すことも大切です。
主に以下のポイントを見ていきましょう。
- ・天然素材のマット
カーペットやマットで静電気が起きている場合、綿や麻などの天然素材で作られているものに変えることで軽減されることがあります。
- ・寝具の素材
ベッドやブランケットも、ポリエステルなどの化学繊維より、コットンやウールなどの天然素材がおすすめです。
静電気を防ぐ日常ケア

環境を整えることに加え、日常のグルーミングや皮膚ケアを見直すことで静電気の発生を減らすことができます。
ブラッシング
- ・適切なブラシ選び
金属製のブラシよりも、木製や天然毛のブラシを使うと静電気が発生しにくいです。
また、静電気防止機能があるブラシも市販されています。
- ・被毛の保湿
ブラッシングをする前にスプレーやミストを使うことで摩擦を減らし、静電気の発生を防ぐことができます。
ただし、過度に濡らすとわんちゃんが冷えてしまう可能性があるので、毛の表面がしっとりする程度に保つことがポイントです。
- ・定期的に行う
定期的にブラッシングすることで、被毛の乱れや絡まりを防ぎ、結果的に静電気も抑えられます。
特にシャンプー前後のブラッシングはしっかり行うことが大切です。
保湿ケア
皮膚や被毛の乾燥は静電気の大きな原因です。
適切な保湿ケアを行うことで、静電気の発生を抑えるとともに、皮膚トラブルの予防にもつながります。
- ・シャンプー後の保湿
シャンプーの後は皮膚が乾燥しやすいため、保湿が欠かせません。
ドライヤーの後に保湿剤を使用したり、保湿効果のあるシャンプーを使用することが推奨です。
- ・クリーム
特に乾燥しやすい肉球周りなどはクリームを使って保湿しましょう。
これによって、肉球周りの静電気やひび割れを防ぐことが可能です。
- ・保湿スプレー
犬用のヘアミストスプレーを適度に使用することで、被毛や皮膚の乾燥を防ぎ、静電気の発生を抑えることができます。
ブラッシングする際やシャンプー後の使用がおすすめです。
まとめ
わんちゃんの静電気は一瞬の不快感だけでなく、被毛や皮膚、普段の行動にも影響を与えうるものです。
特に冬場は厄介ですが、ちょっとした工夫で軽減することができます。
主に以下を踏まえたケアが有効です。
- ・室内の湿度を適度に保つ
- ・天然素材のマットや寝具を選ぶ
- ・適切なブラシを使い、定期的にブラッシングする
- ・保湿ケアをしっかり行う
これらを日常に取り入れることで、静電気を発生を抑えることが期待できます。
特に乾燥する季節は意識して対策を行い、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。

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