
皆さんは、被毛の長さや構造によって適切なケア方法が異なることはご存知でしょうか?
シャンプーやブラッシングは汚れを落としたり、皮膚トラブルを予防する大切な日常ケアの一つです。
しかし、このようなケアはわんちゃんにとって一様ではありません。
短毛種や長毛種、そしてシングルコートとダブルコートによって、シャンプーやブラッシングの際に注意することが大きく異なります。
それぞれに合った日常ケアを行うことで、愛犬を清潔な状態にしやすくなります。
今回は、短毛種・長毛種、シングルコート・ダブルコートを組み合わせごとに主な犬種や特徴、ケアをする際の注意点を解説します。
目次
短毛種×シングルコート

短毛種でシングルコートの犬種は抜け毛が少なかったり、被毛が絡まりにくいため、比較的手入れがしやすいといわれています。
主な犬種
主な犬種としては下記が挙げられます。
- ・チワワ(スムース)
- ・ミニチュアピンシャー
- ・イタリアングレーハウンド
- ・ダルメシアン
- ・ドーベルマン
特徴
短毛種でシングルコートのわんちゃんの具体的な特徴としては以下の通りです。
- ・被毛が短いため、毛玉ができにくい
- ・換毛期がないため、抜け毛が比較的少ない
- ・皮脂がたまりにくく、臭いが少ない
- ・外部刺激の影響を受けやすい
- ・暑さや寒さに弱いことがある
スムースコートのチワワは抜け毛が多いように、犬種によって例外はあるものの、一般的に短毛種でシングルコートのわんちゃんはお手入れがしやすいといえるでしょう。
一方で、皮膚が刺激の影響を受けやすいため、気温の変化などには注意が必要です。
注意点
ブラッシングやシャンプーを行う際は、適切な方法で行うことが重要です。
一般的に2~3日に1回はブラッシングを行い、月に1回程シャンプーをすることが目安とされています。
しかし、シャンプーに関してはわんちゃんの皮膚状態によって適切な頻度が変わるため、獣医師に相談して決めるとよいでしょう。
また、前述のとおり、短毛種でシングルコートのわんちゃんは外部の刺激を受けやすいため、ブラッシングの際は皮膚を傷つけないよう気を付けながら行いましょう。
柔らかめのブラシを使用し、優しく撫でるようにブラッシングすることが望ましいです。
シャンプーをする際も刺激性を考慮することが大切です。
皮膚にやさしい成分を使ったシャンプー製品を使用し、洗うときは皮膚を強くこすらずに包むようにして洗います。
また、乾燥してしまうと皮膚がより刺激を受けやすくなるため、保湿効果のあるシャンプーやシャンプー後保湿剤を使用するようにしましょう。
ドライヤーを使用する際も、20㎝以上離し、なるべく短時間でしっかり乾かすことが理想的です。
短毛種でシングルコートのわんちゃんは抜け毛が少なったり、被毛が絡まりにくかったり、トリミングが必要ないなどの点でお手入れがしやすいです。
皮膚への刺激性を配慮して日常ケアを行うことで愛犬をきれいで健康な状態に保つことができるでしょう。
短毛種×ダブルコート

短毛種でダブルコートのわんちゃんは前述と同様に被毛全体は短いものの、被毛が外側にあるオーバーコートと内側にあるアンダーコートの二層構造になっており、シングルコートのわんちゃんと違って換毛期があります。
主な犬種
短毛でダブルコートの犬種としては主に下記が挙げられます。
- ・フレンチブルドッグ
- ・ビーグル
- ・柴犬
- ・コーギー
- ・ジャックラッセルテリア
- ・ボーダーコリー(スムース)
- ・ラブラドール
特徴
主な特徴としては以下のようなものがあります。
- ・換毛期に毛がたくさん抜ける
- ・被毛の保温性や防水性が高い
- ・外部からの刺激を防ぎやすい
このように、短毛でダブルコートのわんちゃんはシングルコートに比べて外部からの刺激に強い一方、春と秋の換毛期にはたくさん毛が抜けます。
抜けた毛を放置すると被毛に絡まって毛玉になったり、汚れが付着しやすくなるため、定期的なブラッシングがより大切だといえます。
注意点
ダブルコートのわんちゃんのケアを行う上で特に注意が必要なのは換毛期です。
通常、ブラッシングの頻度としては2~3日に1回で良いとされていますが、換毛期は毎日ブラッシングを行うことが望ましいです。
一般的に春と秋が換毛期とされていますが、室内管理によって年中抜け毛があるわんちゃんもいます。
「スリッカーブラシ」や「ピンブラシ」などの専用のブラシを使用し、特にアンダーコートが密集している部分を丁寧にブラッシングしましょう。
また、シャンプー前もブラッシングは不可欠です。
抜け毛が付着したままだったり、毛並みが乱れているままでシャンプーを行うと、泡が浸透しなかったり、被毛が絡まってしまう恐れがあります。
短毛種でダブルコートのわんちゃんは先程と異なり、換毛期により丁寧にケアを行うことが重要です。
気になる点や心配なことがあれば獣医師にも相談しつつ、日常ケアを進めていきましょう。
長毛種×シングルコート

長毛種×シングルコートのわんちゃんは先程と反対に、被毛全体が長く、オーバーコートのみで覆われており、換毛期がない一方で被毛が絡まりやすいとされています。
主な犬種
主な犬種としては下記が挙げられます。
- ・マルチーズ
- ・パピヨン
- ・ヨークシャーテリア
特徴
長毛でシングルコートのわんちゃんの特徴には以下のようなものが挙げられます。
- ・換毛期がなく、抜け毛が少ない
- ・被毛が長く、絡まりやすい
- ・毛が伸び続ける
- ・寒さの影響を受けやすい
シングルコート犬は換毛期がないため、特定の時期に大量に被毛が抜けることはありません。
一方、長毛種のわんちゃんは被毛が絡まって毛玉ができやすいため、定期的なブラッシングが重要です。
また、ヨークシャーテリアでよく見られるように、必要があればトリミングで被毛を適切な長さに整えることも良いでしょう。
注意点
換毛期はないものの、被毛が絡まりやすいため、なるべく毎日ブラッシングを行うことが望ましいです。
また、マルチーズなどの巻き毛のわんちゃんも毛玉ができやすいため、注意が必要です。
ほぐすごとが難しくなる前にもつれや毛玉をとることで、毛並みを整えやすくなります。
前述と同様、スリッカーブラシやピンブラシを使用し、丁寧にブラッシングしましょう。
シャンプーをする際は入念に行うことが重要です。
泡を付ける前に体を濡らす際はしっかり全体を濡らし、すすぐときも洗い流しがないようにすることが大切です。
特に長毛種のわんちゃんは被毛の根本にすすぎ残しがあることが多く、これによって皮膚トラブルが起きてしまうこともあるため、しっかり洗い流しましょう。
このように、長毛種でシングルコートのわんちゃんは被毛が絡まりやすかったり、すすぎ残しが多いなどの特徴があるため、上記の注意点を踏まえて日常ケアを行うことが大切です。
長毛種×ダブルコート

長毛種でダブルコートのわんちゃんは被毛が絡まりやすく、抜け毛が多いとされています。
そのため、シャンプーやブラッシング重要な一方でこれらのケアが最も難しいといえます。
しかし、注意点を踏まえたり、獣医師やトリマーとともにケアを行うことで愛犬をきれいな状態に保つことも可能です。
主な犬種
長毛でダブルコートの主な犬種には下記が挙げられます。
- ・ゴールデンレトリバー
- ・シーズー
- ・シェットランドシープドッグ
- ・ビションフリーゼ
特徴
主な特徴としては以下の通りです。
- ・換毛期に毛がたくさん抜ける
- ・アンダーコートとオーバーコートが共に長い
- ・もつれや毛玉ができやすい
- ・乾燥に時間がかかる
- ・被毛が伸び続ける
このように、長毛でダブルコートのわんちゃんは抜け毛が多くて被毛が絡まりやすいため、最も日常ケアを必要としているといえるでしょう。
また、先程と同じように被毛が伸び続けるため、定期的なトリミングも必要です。
注意点
前述と同様、長毛種は毛が絡まりやすいため、なるべく毎日ブラッシングをすることが望ましいです。
特に換毛期は抜け毛も増えるため、毎日ブラッシングすることがより重要となります。
また、シャンプーをする前もブラッシングするようにしましょう。
他のわんちゃんでも同様ですが、長毛でダブルコートの犬種は特に絡まった毛や抜け毛を取り除き、シャンプーが被毛にしっかり浸透するようにすることが大切です。
シャンプーをする際は、しっかりすすぐことや乾燥させることを意識しましょう。
長毛であることに加えてアンダーコートがあるため、シングルコートの長毛種よりもすすぎ残しや乾燥のムラによって皮膚トラブルを起こしやすいです。
長毛種でダブルコートのわんちゃんのシャンプーは比較的負担が大きいため、トリミングサロンで行うことも選択肢の一つです。
さらに、ブラッシングやシャンプーは皮膚の状態をチェックするいい機会です。
被毛が長く、量の多い犬種は寄生虫や皮膚トラブルに気づきにくいため、ブラッシングやシャンプーのタイミングに合わせて皮膚を確認してみましょう。
赤みなどの異常や見られたり、気になる点があれば獣医師にご相談ください。
まとめ
今回は、わんちゃんを被毛の長さと構造によって4つに大別し、当てはまる犬種、特徴、ブラッシングやシャンプーの注意点について見てきました。
それぞれのシャンプーやブラッシングの際に踏まえるポイントを振り返っていきましょう。
- ・短毛種×シングルコート:お手入れは行いやすいものの、 皮膚への刺激を考慮
- ・短毛種×ダブルコート: シャンプー前、換毛期は特にしっかりブラッシングを行う
- ・長毛種×シングルコート: 被毛の絡まりやすすぎ残しに注意
- ・長毛種×ダブルコート: 毎日のブラッシング、シャンプーのすすぎや乾燥、定期的な皮膚チェックを徹底
健康な被毛を守るには、愛犬の特徴について把握し、それに応じた日常ケアを行うことが不可欠です。
気になることがある場合は、獣医師やトリマーにぜひご相談ください。