わんちゃんと人間の皮膚はどう違う?犬用シャンプーを使う理由


皆さんは、愛犬をシャンプーする際は犬用のシャンプーを使用していますか?

人間用のシャンプーをわんちゃんにも使用することは手軽さとコストの側面からは魅力的かもしれませんが、獣医療の観点からは必ず犬用のシャンプーを使用することが望ましいです。

「わんちゃんには犬用シャンプーを」とよく言われるのは、わんちゃんと人の皮膚の違いによるものです。

しかし、具体的にこの違いはどこから来ているのでしょう?
わんちゃんと人は皮膚の厚さや汗腺などにおいて様々な違いがありますが、シャンプーケアにおいて重要なものとしては皮膚のpHが挙げられます。

今回は、皮膚のpHについて、pHが決まる要因、わんちゃんと人間の皮膚の違い、そして犬用シャンプーが推奨される理由について解説します。



皮膚のpHとは、皮膚表面の水素イオンの濃度を示す指標です。
pHは0から14の尺度で測定され、7未満が酸性、7が中性、そして7以上がアルカリ性を表します。

一般的に皮膚のpHには理想的な状態があるとされ、スキンケアによって望ましい皮膚のpHを保つことが重要であるとされています。
適切なpHを保つことは、細菌やカビの増殖を抑えたり、皮膚のバリア機能を維持することに役立ちます。
また、免疫の強化に貢献する皮膚上の微生物がより生活しやすい環境にも繋がります。

一時的に外部の環境などによって高くなったり低くなったりすることもありますが、一般的にはベースとなる皮膚のpHがあります。
しかし、自然な皮膚のpHは動物によって異なります。

例えば、健康とされる人間の皮膚は弱酸性でおよそpH4.5〜6.0であると言われています。
対照に、わんちゃんの皮膚のpHは人間よりも中性からアルカリ性に近く、およそpH6.2~7.8となります(犬種によって差があります)。



皮膚のpHは特定の要素で決まるものではなく、様々な要因の影響を受けています。
主にpHを左右する要素としては下記が挙げられます。

・遺伝的要因
皮脂腺の活動や角質層の構造など、遺伝的に決定される要素によって皮膚のpHに影響されます。
わんちゃんの場合、犬種や個体差によってベースとなる皮膚のpHが異なります。

・皮脂の分泌
皮脂は弱酸性の物質のため、分泌されると皮膚表面のpHを下げる役割があります。
皮脂は年齢やホルモンバランスによって分泌量が異なるため、これらも間接的に皮膚のpHに影響すると言えます。

・汗の分泌
汗は水素イオンを含んでいるため、pHに影響を与えます。
運動習慣や気温によって汗の分泌量が変わると、一時的に皮膚のpHも変動します。

・皮膚の常在菌&皮膚疾患
皮膚に常在する細菌は、代謝を通じて皮膚のpHに影響を与えます。
例えば、一部の細菌は乳酸を産生し、皮膚を酸性に傾けます。
また、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患は病原菌が増殖している状態のため、皮膚のpHバランスを大きく崩す可能性があります。

・環境要因
気温、湿度、紫外線の強さなどの環境要因も皮膚のpHに影響します。
例えば、高温多湿の環境では皮膚が蒸れたりすることで、pHが変動しやすくなります。

・年齢
加齢とともに弱酸性である皮脂の分泌量が減少したり、ターンオーバーにかかる期間が長くなったりすることで皮膚がよりアルカリ性になる傾向があります。

・スキンケア製品の使用
石鹸や化粧品などの使用も皮膚のpHに影響を与えます。
特に、pHが普段の皮膚のpHと大きく異なる製品の使用は、一時的に皮膚状態を変化させる可能性があります。

これらの要因が複合的に作用し、皮膚のpHが決まります。
わんちゃんと人の皮膚のpHが異なるのも、遺伝的要因や皮膚の常在菌などの違いによるものだと考えられます。



具体的に、皮膚のpHが異なる人間とわんちゃんにはどのような違いがあるのでしょうか?
皮膚の状態はphによって異なるため、人間とわんちゃんの皮膚には下記の違いがあります。

・皮膚表面の保護
人間の皮膚表面は弱酸性により、角質層のタンパク質と脂質の結びつきが強くなります。
これが皮膚に保護層を作り、細菌の増殖を抑制されたり、皮膚を炎症や乾燥から守ったりする働きをします。
一方、犬の皮膚は人間ほど強い保護層を形成しません。
代わりに、被毛が皮膚を物理的に保護する機能を持ちます。

細菌のバランス
皮膚が酸性の場合、善玉菌の成長が促進され、病原菌の増殖が抑制されます。
これにより、健康的な皮膚環境が維持されます。
わんちゃんの中性に近い皮膚環境では、より多様な細菌が生存可能で、人間の皮膚よりも菌が増殖しやすいです。
中には皮膚トラブルを起こしうる細菌もありますが、犬特有の細菌には病原菌の繁殖を防ぐものもあるため、全体として皮膚環境を整える仕組みになっています。

・保湿機能
人間の弱酸性の皮膚は角質層の結合を強化し、水分を保持する機能があります。
これにより、皮膚が保湿されやすくなります。
一方、犬の皮膚環境では、皮脂と被毛が主な保湿機能を担います。
しかし、角質層の結びつきによって水分を保持する機能は強くないため、乾燥しやすい傾向があります。

・アレルゲンへの反応
酸性の皮膚は、アレルゲンの侵入に対するバリア機能を強化します。
また、一部のアレルゲンは酸性の環境ではで不活性化されるため、人間の皮膚はアレルギーに比較的強いと言えます。
一方、犬の皮膚はアレルゲンに対してより敏感に反応する可能性があります。
この敏感さが犬のアレルギー性皮膚炎の一因となることがあります。

上記のように、人間とわんちゃんは皮膚のpHによって皮膚環境が大きく異なります。
また、保湿やアレルゲンなどの側面から、わんちゃんの方が皮膚トラブルのリスクが高いと言えるでしょう。
そんなわんちゃんの皮膚環境を整えるためには、皮膚に合ったシャンプーを選ぶことが大切と考えられます。



愛犬のシャンプーを選ぶとき、人間用のシャンプーではなく、犬用のシャンプーを使用することが非常に重要です。

前述の通り、犬の皮膚のpHは人間とは異なります。
人間の皮膚は弱酸性(pH 4.5-6.0)であるのに対し、犬の皮膚はより中性からアルカリ性(pH 6.0-7.8)になります。
pHが1下がるごとに水素イオン濃度は10倍になるため、犬の皮膚よりもpHが2.0ほど低い人間の皮膚は水素イオン濃度がおよそ100倍(10の2乗)高く、はるかに酸性度が高いのです。
そのため、人間の皮膚を想定したシャンプーはわんちゃんには刺激が強いと考えられます。

また、犬の皮膚は人間よりも薄く、敏感です。
人間の皮膚は15〜20層の細胞で構成されているのに対し、犬の皮膚はわずか3〜5層しかありません。
この薄さゆえに、犬の皮膚は外部刺激や化学物質に対してより敏感に反応します。

これらの違いを踏まえずに人間のシャンプーをわんちゃんに使用してしまうと、皮膚に合わず、炎症を起こしてしまう可能性があります。
具体的には、皮膚のpHバランスの崩れることで乾燥肌や炎症が起きたり、皮膚のバリア機能が低下してしまう恐れがあります。

一方、犬用シャンプーは犬の皮膚のpHに合わせて作られているものが多いため、皮膚への刺激が緩和されます。
他にも、皮膚と被毛に優しい成分が配合されていたり、わんちゃんの嗅覚に合う匂い(無香料や微香料)であったりすることからも、わんちゃんには犬用シャンプーのほうが相性が良いと言えるでしょう。
しかし、犬用シャンプーであれば必ずしも刺激が低いわけではありません。
愛犬を安全かつキレイにするためにも、シャンプーを選ぶ際は獣医師に相談しましょう。

したがって、愛犬の健康な皮膚と被毛を維持するためには、獣医師が推奨する犬用シャンプーを選ぶことが不可欠です。



わんちゃんと人間の皮膚のpHが異なるとされています。
わんちゃんの皮膚は中性からアルカリ性の傾向があるため、弱酸性の人間の皮膚のpHに合わせたシャンプーを使用すると皮膚トラブルのリスクがあります。
そのため、愛犬に合ったシャンプーケアをするには獣医師に相談し、犬用のシャンプーを使用することが推奨されます。

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