犬の脂漏症は、皮脂の過剰分泌によって皮膚のべたつきや乾燥を引き起こす疾患です。
犬の脂漏症は、脂性脂漏症と乾性脂漏症に分類されます。
脂性脂漏症は、皮脂腺の機能亢進によって、皮脂の過剰分泌が起こる状態です。
皮膚が脂っぽくなり、肌にべたつきが生じます。
また、皮脂が過剰に分泌されることでマラセチア菌をはじめとする細菌が増殖してしまいます。
これが皮膚トラブルを悪化させ、悪臭などの症状を引き起こす可能性があります。
一方で、乾性脂漏症は保湿成分の不足により、皮膚が乾燥してかさぶたやふけが発生する状態です。
皮膚全体が乾燥してしまうため、毛艶が悪くなるといった症状が現れます。
また、症状が進行した場合は、皮膚が炎症を起こす脂漏性皮膚炎を発症する場合があります。
この炎症により、皮膚が赤くなり、かゆみや痛みが生じます。脂漏性皮膚炎は、元々の脂漏症に加えて、皮膚の健康を損なうリスクがあります。
かゆみや炎症によって、二次的な感染症を起こしてしまったり、犬が皮膚を引っ掻いてしまうことがあるため、適切な対処が不可欠です。
目次
脂漏症になる原因とは?
犬の脂漏症は、複数の要因に起因する複雑な皮膚疾患であり、その原因は主に体質的な要因と環境的な要因に分類されます。
体質的な要因
体質的な要因としては、皮膚のターンオーバーの乱れや内分泌系の異常、遺伝的な要因が挙げられます。
犬の皮膚は常に新陳代謝を行い、古い細胞が新しいものと入れ替わりますが、このターンオーバーが乱れることが脂漏症の一因です。
皮膚には表皮(皮膚の一番外側にある層です)の奥で新しい細胞がつくられ、表面にある古い細胞が剥がれ落ちる、ターンオーバーという代謝のサイクルがあります。
通常、このターンオーバーは3週間から1か月かけて行われるものの、脂漏症では、この過程が1週間程度で進んでしまいます。
ターンオーバーが異常に早く行われてしまうことにより、古い細胞が蓄積することで毛穴が詰まりやすくなったり、保湿成分が不足して肌の乾燥や皮脂の過剰分泌を引き起こします。
内分泌系の乱れも脂漏症の原因として挙げられます。
ホルモンバランスの乱れは皮脂腺の機能を過剰に促進させてしまい、脂漏症を引き起こすことがあります。
また、遺伝的な体質が脂漏症を引き起こす場合があります。
特定の犬種や家系では脂漏症がより頻繁に発生しやすい傾向にあります。
この場合、完治は難しいとされているため、遺伝的な体質と向き合いつつ重症化を防ぐことが重要となります。
環境的な要因
環境的な要因としては、栄養分の偏った食事や気温などの生活環境が挙げられます。
バランスが偏った食事は脂漏症を悪化させる場合があります。
脂肪分の多い食事をしている場合、皮脂の分泌量の増加が引き起こされてしまうため、脂漏症になりやすいと考えられます。
また、生活環境も脂漏症の原因となります。
犬は梅雨から夏にかけて皮脂の分泌が活発になるため、室内の温度調整が行われないと肌の乾燥やべたつきが促進されてしまいます。
脂漏性皮膚炎
このようにして発症した脂漏症は、元々の皮膚炎やマラセチア菌の増殖などによる炎症によって脂漏性皮膚炎として重症化することもあります。
皮膚炎の原因には、以下のようなものがあります。
- ・マラセチア菌感染
- ・アレルギー性皮膚炎
- ・アトピー性皮膚炎
- ・ニキビダニ感染
- ・外傷
中でも、脂漏性皮膚炎を引き起こすものとして知られているのがマラセチア菌です。
マラセチア菌は元々皮膚に存在する真菌ですが、増殖すると炎症を引き起こしてしまいます。
このマラセチア菌は皮脂をエサとしているため、皮脂の過剰分泌によってを重症化させるリスクがあります。
また、炎症が皮脂腺を刺激することでさらなる皮脂の分泌を促してしまう場合もあります。
そのため、脂漏症から脂漏性皮膚炎になるのを防ぐためには、マラセチア菌をはじめとする皮膚の炎症の原因となるものに対処することが重要です。
治療について
治療の方針としては、主に脂漏性皮膚炎の発症を防ぐことになります。
脂漏性皮膚炎の治療はマラセチア菌とそのエサである脂を落とすことが主ですが、脂を落とすことは脂漏症の改善にもつながるため、この二つを徹底することが重要です。
マラセチア菌・皮脂ともに皮膚に本来存在しているものなので完全に除去することはできませんが、数量を調整することで脂漏性皮膚炎に対処することができます。
シャンプー療法
マラセチア菌に抗菌作用のあるのシャンプーを使用することで、皮脂の炎症を抑えます。
細菌そのものと、そのエサである脂を両方落とすことができるため、根本的な治療が可能となります。
シャンプーを使用する場合、頻度などは獣医師と相談の上で治療を進めることが推奨されます。
(皮膚に刺激を与えないため、洗い流す際にはぬるま湯をご使用ください。ドライヤーで乾かす際も、皮膚を熱さないように温風と冷風を使い分けることを推奨します。また、洗浄後はしっかり乾燥・保湿をしてください。
食事の改善
肥満体質の場合、肌がこすれたり蒸れたりすることでマラセチア菌が増殖してしまいます。
そのため、食事を改善して適切な体形を維持することが脂漏症の炎症化を防ぎます。
また、バランスのいい食事によって皮脂の分泌量を減らすことも可能であるとされています。
生活環境の改善
高温多湿で皮脂の分泌が悪化してしまうため、夏はクーラーや除湿器を有効活用することが推奨されます。冬は暖房が乾燥の原因になる場合があるため、温度の調節が重要です。
アレルギー&基礎疾患の対処
マラセチア菌以外にも、アレルギー性皮膚炎をはじめとしたその他の要因も脂漏症を悪化させてしまう場合があるため、アレルギーや基礎疾患の対処も有効です。
脂漏症・脂漏性皮膚炎との向き合い方
犬の脂漏症や脂漏性皮膚炎と向き合っていくためには、原因となる皮膚トラブルに対処することが必要不可欠です。
食事管理などによって皮脂の過剰分泌を抑え、脂漏症の予防をすることや、菌の繁殖を防ぐことによって脂漏性皮膚炎への悪化を防止するなどが肝心です。
また、犬が頻繁にかゆがるしぐさをしていたら早めに獣医師に診察を求めることで早期治療が可能となります。
ご自宅と動物病院で行うスキンケアも脂漏症・脂漏性皮膚炎の対処に欠かせません。
シャンプーの選び方や洗い方に注意したり、毎日のブラッシングで汚れを落とすなどの日常的なケアに加え、定期的な獣医師のチェックにより、皮膚状態を健康に保つことができます。
このような積み重ねによって脂漏症・脂漏性皮膚炎は根本的な対処が可能となるのです。
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